相続できない財産?~遺産・相続財産とは?
遺産も相続財産も、亡くなった人(被相続人)から相続人に引き継がれる財産のことです。
「遺産」は承継される財産を被相続人の側からみた言い方であり、「相続財産」は相続人の側からみた言い方です。
被相続人が有していた「財産上の権利や義務」が相続財産となりますからプラスの財産だけでなく、被相続人の負っていた借金や債務などのマイナスの財産も含まれます。
どの様なものが相続財産になるのか
具体的にどの様な財産が、相続財産なのかがわからないと、遺産分割を進めることもできません。また、借金や負債が多い場合は「相続をしない」という選択もできますから、相続財産が何かを知ることが大事であり、また必要があります。
被相続人が有していた財産
プラスの財産例
土地・建物などの不動産、果樹立木、現金、預貯金、貸付金、株式、債権などの金融資産、貴金属、書画骨董、自動車などの動産、著作権、特許権、商標権などの無体財産が相続財産となります。
マイナスの財産例
被相続人が負っていた借金、ローン、未払いの家賃、滞納している税金なども相続の対象となる財産です。
「財産上の権利や義務」とは
財産上の権利・義務も相続の対象なので、亡くなった人(被相続人)が他人の連帯保証人になっていた場合などは問題となります。
被相続人が亡くなっていても、連帯保証債務は原則として放棄することができないため、連帯保証人の立場も引き継ぐことになります。
仮に借金をした本人が返済できなければ、返済する義務を負うこととなってしまい、思わぬ不利益を被る可能性があります。
相続財産がマイナスのときはどうするのか
遺産がプラスならば相続するのに問題はありませんが、財産調査の結果、借金などが多くマイナスの場合、相続人は遺産を「相続する」のか「相続しない」(相続放棄する)のかを選択することができます。
相続を放棄するには、相続の開始(被相続人の死亡)があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
相続することができない財産
被相続人が有していた財産の中でも、相続財産とならないものがあります。
一つは「本人だけが行使あるいは享有できる権利」です。これを「一身専属権」といいます。
二つ目は祭祀財産で、系譜、祭具、仏具、仏壇やお墓などです。
一身専属権の具体例
一身専属権とは、その本人以外に帰属させることが意味をなさないとされるような権利をいい、生活保護の受給資格、扶養請求権や親権などが、これにあたります。これらは、被相続人本人が要件を満たしている権利なので、本人の死亡によって消滅するため、相続の対象となりません。
祭祀財産
先祖代々から承継されている系譜、祭具やお墓などは祭祀財産といい、相続財産に含まれません。
これらの所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が引き継ぎます。
ただし、被相続人が遺言によって祭祀主宰者を指定しているときは、その者が引き継ぐことになります。
また、慣習が明らかでないときや遺言による指定もない場合には、家庭裁判所で祭祀主宰者を定めてもらうことになります。
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