覚えておきたい相続手続とその期限
身近な人が亡くなると、家族や親族は、葬儀などの準備や手配の他に、速やかに行わなければならない届出や手続きがあります。
葬儀等が終わると、次は相続が開始するのですが、相続手続きの中には、期限が定められているものがあります。
この期間を知らずにいて、手続きをしないと不利益を被ることがあります。
相続手続きの手順と期間
◎遺言書の存否確認
故人(被相続人)が遺言書を残している場合は、原則的には遺言書の内容に従って、相続手続を行うことになります。
遺言書に、どの様に遺産を分けるとか、誰に引き継がせるとか、相続人以外の者にも財産を残す(遺贈)など相続人の指定(指定相続)等の記載があると遺産分割に大きく影響します。
遺言書がない場合は、法律に従い(法定相続)、法律で決まった人(法定相続人)が、決まった取り分(法定相続分)で相続することとなります。
もちろん、法定相続人間の話し合い(協議)で遺産分割を行うこともできます。
→遺言書については
→遺贈については
公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合は家庭裁判所での「検認」手続が必要です。
→検認については
◎相続人の調査
被相続人(故人)の相続人が誰なのかを確定させることは、相続手続をするためには欠かせません。故人の出生から亡くなるまでの戸籍を連続する形で取り寄せ調査します。
◎相続財産の調査
被相続人(故人)の財産がどれだけあるのかを調べます。
故人の有していた全ての財産が相続の対象になるため、この相続財産調査を的確に行うことが大事になります。
この調査では、不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金や債務、住宅ローンなどのマイナス財産についても、可能な限り把握するよう努めます。
マイナス財産が多い場合には、その後の相続手続きにおいて相続するのか、しないのか決める判断材料となります。
◎限定承認・相続放棄の申し立て
引き継ぐ財産が借金や債務が多いなどマイナスの場合、相続を放棄することも可能です。また相続財産の範囲内でのみ借金や債務を引き継ぐ限定承認をすることもできます。いずれも3ヶ月以内に家庭裁判所に申述します。
全ての財産(プラスの財産・マイナスの財産)を相続する場合は単純相続といい
家庭裁判所へ手続は必要ありません。
◎遺産分割協議
遺言書がある場合は原則的にはその内容に従って相続しますが、遺言書がない場合は法律で、決まった人(法定相続人)が、決まった取り分(法定相続分)で相続することになっています。
しかし、法定相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で、法定相続分を変更することもできます。
遺産分割協議は話し合いがまとまれば問題はありませんが、まとまらない場合は家庭裁判所での調停・審判による分割となります。
→遺産分割協議の詳細はこちら
→調停・審判の詳細はこちら
◎故人の準確定申告
故人が所得税の確定申告をしていた場合、相続人が故人に代わって、1月1日から死亡日までについて、亡くなった年の分の確定申告(準確定申告)を行います。
相続の開始から四ヶ月以内に行う必要があります。
故人が個人事業主だった場合、2カ所以上から給料を得ていた場合などは申告が必要となります。
また、多額の医療費を支払っていたときは申告することで還付が受けられることがあります。
◎遺産の名義変更
指定相続(遺言相続)の場合でも、法定相続の場合でも、相続人の間で具体的な遺産分割がまとまれば、相続人はそれぞれが相続した財産の名義を故人から自分の名義に変更します。
不動産の所有権移転登記では名義変更の際、遺産分割協議書が不可欠ですし、預貯金の名義変更は金融機関で多くの場合、分割協議書の添付を求められます。
→遺産分割協議書の詳細はこちら
◎相続税の申告と納付
相続財産が一定額を超える金額の場合には相続税がかかります。
相続税がかからない場合は原則、申請は必要ありませんが、「小規模宅地等の評価減の特例」や「配偶者控除」を活用する場合は申告が必要です。
この相続税の申告及び納付は相続の開始から十ヶ月以内に行わなければなりません。